タオイズム=老子の言葉は、わかりにくく逆説に充ちていて、謎めいてさえいるように、みえる。例えばこんな風に-- 「真の完全さは 不完全に 見えるが それは 完全に そのものである 真の充満は からっぽに 見えるが それは 十分に そこに存在する」 (道徳経第45章)この「ハコミセラピー タオイズムと心理療法」(原題 Grace Unfolding Psychotherapy in the Spirit of The Tao-te ching )は、老子の「道徳経」にある智慧の言葉に、ハコミセラピーのセラピー場面でのエピソードを加えて、タオイズムのエッセンスをわかりやすく紹介しようとするものです。ハコミセラピーの原理を解説しながら、同時にタオイズムに親しんでもらえるようになっている。本質的な心理療法/セラピー/カウンセリングは、タオにそって実践されるもの、と私は思います。その意味でタオイズムに関心を持ち、セラピーに関わる方々にこの本をぜひ読んで欲しいし、またいわゆる「セラピー」のワクにこだわらず、ハコミセラピーにもこだわらず、できるだけ多くの方がこの本に触れられれば、それは素晴らしい体験となるだろう。その意味で、ぜひお勧めたい。
『ハコミセラピー』というタイトルですが、副題の「タオイズムと心理療法」からわかるように、ハコミセラピー自体の解説書ではありません。ハコミセラピーを体系的に学ぼうという人には、星和書店刊の『ハコミセラピー』をお勧めします。とはいえ、この本はとても味わい深い本です。200ページほどの薄い本で、文字も大きく読みやすいです。老子・道徳経からたくさんの言葉が引用され、老子、タオイズムの入門書としても面白いです。そして、操作しないセラピスト、カウンセラー、コーチを目指す方には読めば読むほど味わい深い本です。『ハコミセラピー』について知りたいという読者には期待はずれの本ですが、セラピストのあり方やタオイズムに興味のある方にはお勧めです。